文化ジャーナル(平成15年12月号)

2003年12月1日

文化ジャーナル12月号

創世ホール自主事業・当面の日程
上方講談・旭堂南湖寄席2

創世ホールは、12月6日18時半から「上方講談・旭堂南湖寄席2」を2階ハイビジョン・シアターで開催する。昨年12月14日(赤穂義士討ち入り三百周年)の日に「南湖寄席」を開き、好評だったので毎年12月に忠臣蔵と探偵講談を南湖さんに披露していただこうということでシリーズ化することにした。といっても、この企画もアイルランド音楽シリーズ同様町予算は全く付いていないので、南湖さんへの謝礼はチケットの売り上げをそのまま渡すという形だ。厳しい実情をどうかお察しいただき、ご支援を呼びかけたいと思う。

11月28日まで前売券の売り上げがたった4枚という状況だったので、非常に心配だったが、11月29日付け「徳島新聞」のプレイガイド欄に大きく案内記事が掲載されたので一気に動きはじめた。30枚突破は確実だ。新聞記事では11月20日付の「デイリー・スポーツ」四国瀬戸版にも大きく掲載された。

なお図書館では11月22日から関連資料として、館所蔵の忠臣蔵・赤穂義士・海野十三・講談に関する本や、忠臣蔵のレーザー・ディスクをカウンター前に展示している。

徳島初演となる海野十三作品「殺生谷の怪事件」の原題は「緑色の汚点」である。昨年の秋、小西宛に大衆文学研究家の瀬名堯彦さん(三一書房版『海野十三全集』編集委員)から南湖さんに進呈して欲しいということで、海野十三著『恐怖の口笛』(春陽堂、昭 和11年)所収の探偵講談作品「緑色の汚点」のコピーが送られてきた。それを私が大阪で南湖さんに手渡して(2002年11月24日、「よみがえれ! 探偵講談/第8回名探偵ナンコ」)、以後南湖さんがレパートリーにしてくださったというのがその経緯である。なお「緑色の汚点」は、三一書房版『海野十三全集』には収録されていない。

南湖さんにご教示いただいたのだが、当該作品はSF誌『アメージング・ストーリーズ』に掲載されたT・S・ストブリングの小説を海野が翻案したものだということだ。

遠藤ミチロウ◎北島ライヴ

元ザ・スターリンのリーダーで、ヴォーカル担当だった遠藤ミチロウ氏の演奏会を、2004年1月18日(日)18時半から2階ハイビジョン・シアターで行なう。この企画も町予算はない。ギャラを支払う関係で手作りチケットを最低30枚は販売しなくてはならない。万が一、赤字が出たら私(小西)が負担する催しである(もう1人北島町内のサラリーマンS氏がいて彼も連帯責任を負う)。

この数年遠藤氏は、毎年徳島に来ている。私は、1980年前後に法政大学学館ホールの階段踊り場で氏にお目にかかったのが初めての出会いで、個人的なミニコミ活動などを通じて交流が続き、この数年間は遠藤氏の徳島での演奏会のときは、チラシ作りや徳島駅への出迎えやライヴ・ハウスの送迎などのお世話をさせていただいていた。そして、お泊りは殆ど北島町の小西宅である(上の南湖さんも同様)。

最近の氏は、絶版になっていたエッセイ集や対談集などを精力的に新装再刊している。それも新録音のCD付きだ。とても50歳を超えたとは思えないほどエネルギッシュなのである。しかもステージを降りると、極めて腰の低い誠実な常識人でもある。どうかご注目ください。

伊福部昭先生卒寿記念祭

すでにお知らせしているとおり、2004年2月28日(土)・29日(日)の2日間、《伊福部昭先生卒寿記念祭》を開く。11月下旬に、協賛申請(関係諸団体)と後援申請(マスコミ等)を発送した。チラシは4頁だてにしようと思う。当館の催しチラシは通常A4の両面印刷なので、異例な措置となるが2つの催しを連続開催するため4頁で行こうと判断した。12月20日前後には完成させたいと考えているが、ほかの仕事が山積みなので果たしてどうなるか。

2月28日の講演会「伊福部昭・時代を超えた音楽」で講師を務める木部与巴仁(きべ・よはに)氏は、講演会当日に同名の著書を上梓する計画で今追い込み作業をしているが、同書は自費出版になるようだ。

チラシや当日プログラムに使用する伊福部先生関係の写真は、ほぼめどがついた。伊福部先生の単独写真は今のところ2点。札幌のカメラマン・勇崎哲史さん撮影のものを使用する。また勇崎さん撮影の木部氏と伊福部先生が並んだ写真も2点あるので使用する。野坂惠子さん関係のものでは、米寿記念のレセプションでの記念写真で伊福部先生とお2人が並んだものがあるので、それを使用する。

催しのことと写真使用の件で、伊福部先生にごあいさつしておく必要があると考え、先日書簡をお送りした。企画書一式と使用予定写真のコピーも同封した。そして、その後10日ほどたってからお電話をかけさせていただいた。電話口の伊福部先生は、「どうぞ思う様にやってください」と優しくおっしゃった。近年電話でこんなに緊張したことはなかった。また、私が館の活動紹介の意味で、過去の催しの資料(古楽演奏会やアイルランド音楽演奏会や竹内博さんの講演会などのパンフレット類)を同封してあったことに関しても過分な激励のお言葉をちょうだいした(「随分色々と活動されているんですね」)。「私は、先生の音楽にたくさん励まされております。先生は日本の宝物なんですから、どうかうんと長生きしてください」というと、先生は「いやいや、それはどうも」といった。

2003年の大偉業、名張市立図書館

『江戸川乱歩著書目録』ついに完成

「創世ホール通信/文化ジャーナル」2002年9月号で三重県の名張市立図書館の乱歩資料集刊行事業についてご紹介した。そこでも予告されていた資料集『江戸川乱歩著書目録 江戸川乱歩リファレンスブック3』が11月下旬ついに完成し、同館では12月9日から通信販売の注文を受け付けている。北島町立図書館にも寄贈いただいたが、非常に美しい造本と緻密な内容で渾身の力作というべき立派な資料集として仕上がっている。それはひとえに編集担当である同館嘱託・中相作氏の功績である。巻頭には「ふるさと発見五十年」という中氏の長文の論考が収録されているが、これも名張市と乱歩の関わりを実に手際よくまとめた屈指の名文といってよいと思う。

中氏が我が国トップ・クラスの乱歩研究ホーム・ページ「名張人外境」を主宰されていることなどは、「創世ホール通信」当該号をお読みいただきたいが、同サイトで中氏は、この本を独特のシニカルな文体で次のように自己紹介しておられる。

一●江戸川乱歩の生誕地にして深刻な財政硬直化に直面する三重県名張市が乱歩を愛するすべての人のために血税を注ぎこみました。

二●前二巻にひきつづいて平井隆太郎先生のご監修と全面的なご協力をたまわり、巻頭には新保博久さんの書き下ろしエッセイ「池袋十二年」を頂戴いたしました。

三●同じく前二巻にひきつづき、戸田勝久さんの美麗な装幀で書籍本体、函、扉、見返しを飾っていただきました。

四● 『心理試験』が探偵小説ファンを瞠目させた1925年から『貼雑年譜』完全復刻版が乱歩ファンを驚喜させた2001年まで、七十七年のあいだに刊行された乱歩の著書千四百二十四点のデータを一巻にまとめました。

五●(略)巻末には狂気と妄執が凝り固まったかのごとき索引を附してリファレンスの便に供しました。

『江戸川乱歩著書目録 江戸川乱歩リファレンスブック3』、A5判、310頁、ハードカバー、トンネル函。本体価格3000円+税150円。

郵送注文方法は氏名と住所を明記の上、現金書留か郵便為替で名張市立図書館宛てに代金3150円+送料340円合計3490円を送ること。 《名張市立図書館 518ー0712 三重県名張市桜ケ丘3088ー156 電話0595・63・3260 FAX 0595・64・1689》

すばらしい人材に恵まれた乱歩と名張市の幸福をしみじみと思う。

(2003・12・10脱稿/北島町創世ホール企画広報担当・小西昌幸)

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