文化ジャーナル(平成16年11月号)

2004年11月1日

文化ジャーナル11月号

創世ホール自主事業・当面の日程

11・25◎アイルランドの風

11月25日(木)19時から秋恒例の」北島トラディショナル・ナイト」を開催する。これは、アイルランド音楽の魅力を探求するために年1回開いている演奏会で、第8回の今年はジャッキー・デイリー、守安功、守安雅子3氏によるコンサートである。この催しは昨年に続いてアイルランド本国のアーティストが登場するものなので、注目していただきたい。この催しは、町予算なし・独立採算方式で取り組んでいる。前売一般1700円という非常に安い料金設定にしているので、ギリギリの採算ラインは実売二百枚である。心からご支援ご協力をお願いしたい。

この企画は、高知のグレイグース・北村剛氏から持ち込まれた。北村氏は守安功氏の弟子筋に当たる人であり、守安さんの本にも名前が登場する。

守安氏はアイルランド音楽の研究家・演奏家として名高く、現地に多くの知人・友人をもつ。東京書籍から発行された2冊の本『アイルランド 人・酒・音』『アイルランド 大地からのメッセージ』は、現地の風土やそこで暮す音楽家たちの人柄などをよく伝えるものになっており、アイリッシュ・ファンの必携文献となっている(徳島アイルランド音楽愛好会メンバーももちろん多くが所有)。演奏会ロビーでは東京書籍の守安さんの本も販売する予定だ。同書にはジャッキー・デイリー氏も登場するので要チェック。

上方講談◎旭堂南湖寄席3

12月18日(土)18時半から2階ハイビジョン・シアターで、「上方講談・旭堂南湖寄席3」を開催する。毎年12月に開催する恒例イベントで、上方講談界で話題沸騰の旭堂南湖(きょくどうなんこ)さんに忠臣蔵+探偵講談を披露していただく。今回の演目は次のとおり。(1)「赤穂義士銘々伝より/堀部弥兵衛」(2)「SF講談紙芝居/原子怪物ガニラ」(3)「探偵講談/くろがね天狗」。

(1)は四十七士中最高齢76歳で討ち入りをした堀部弥兵衛の物語。(2)は1950年代に描かれた紙芝居の名作で作者は左久良五郎(さくら・ごろう 手塚治虫『新宝島』原作者酒井七馬の別名)。本作は南湖さんがSF講談紙芝居として現代に蘇らせた非常に珍しい形式のもの。大爆笑必至とのことだ。徳島初演。(3)は徳島出身のSF作家・海野十三(うんの・じゅうざ)唯一の時代活劇を講談化したもので、奇想天外な展開が意表をつくこと請け合いだ。徳島初演。

この催しも町予算なしの取り組みだ。どうか温かいご支援を。

九條今日子講演会/夫・寺山修司を語る

懸案の創世ホール講演会が決定した。今回は前衛演劇や短歌で著名な寺山修司氏を取り上げる。講師は寺山氏の生涯のパートナーだった九條今日子さん。2005年3月20日午後2時半開催で、演題は「夫・寺山修司を語る」である。私は半年以上思案し、10月13日に人力飛行機舎・九條さん宛てに速達を送り、同23日に電話をかけて快くお引受けいただいた。ご注目下さい。

『宇宙塵』 柴野拓美さんからの手紙

SF同人誌『宇宙塵』代表の柴野拓美さんからお手紙をいただきました。2007年世界SF大会開催地が日本に決定した旨の重要情報などが書かれているので、柴野さんの許可を得て、謹んで全文を採録させていただきます。

拝啓

久しくご無沙汰しております。いつも「創世ホール通信」お送りいただき、恐縮です。精力的なご活動ぶりに感嘆しております。(旧友の長谷さんが大学で教鞭をとっておられることを知ったのは御誌によってでした。そのうち機会を見つけて会ってみたいものです。)
下って・・・・・・私の体調もお蔭様で徐々に回復してきており、夏以降は仲間内の会合にもぽつぽつ顔をだしはじめ、八月には「Gコン」(岐阜市で 開かれた今年の日本SF大会)に、ついで九月には、秋田県の本荘市で昨 年スタートした「HONGCONG」という地域大会に出席してきました。ただし、一昨年ごろから、年齢のゆえか「黄斑変性」とやらに目をやられ、視力が急速に落ちて、このところ細かい活字を読むのに難渋しています。 通常の生活にはとくに不自由なく過ごしているのですが、活字がろくに読めないのは、困るというよりむしろ悲しいものですね。あるいはこのまま失明に向かうのではないかと思うと、少々気落ちせざるをえません。
さて、今年は台風の当たり年、というより、異常な猛暑を考え合わせると、いよいよ地球が温室効果の暴走期に突入し、来年以降もこの傾向が強まっていくのではないかと気がかりです。なお今年はとくに台風の多くが御地を直撃したようですね。お見舞いの手紙をと思いながら、指示にかまけてうかうか過ごしてしまいました。図書館には、お宅には、台風による被害はありませんでしたか? 何事もなくお過ごしだといいのですが・・・・。
ひるがえって当地は前回まではずっと直撃なしにすんでいたのですが、先日の二十二号台風はまっすぐ首都圏へと向かってきて、テレビではしきりに厳重な警戒を呼びかけるし、少々こわい思いをしました。結局は伊豆半島を横断したあと、当地のすぐ南の相模湾を通過して千葉県に再上陸したのですが、九日の午後から夕方にかけてはかなりの降雨があり、風も猛烈で、夜遅くまで雨戸ががたがた、換気扇の外蓋がぱたぱた鳴り、私どももいつになく緊張しました。幸い拙宅にには何の被害もなかったようですが、2日後の今日になってお隣で車庫の屋根が飛ばされたとか、とたん屋根がめくれて雨が吹き込んだとかいった話を聞かされています。テレビ報道によると静岡県ではひどい被害が出た様子で、当地もこれからは安閑としていられないでしょう。
ところで、すでにご存じかとは思いますが、この夏はわたしどもにとってうれしいニュースがふたつ重なりました。ひとつはこの八月、ボストンの大会でおこなわれた投票により、二〇〇七年の世界SF大会の開催地が日本に本決まりとなったことで、スタッフの連中は大喜びで張り切っています。でも実際にはこれからが大変なので、昔からその実現が夢だったわたしとしては、せいいっぱい協力しなければならないのですが、自分の体調なども考え合わせ、今ひとつ歯がゆい思いです。そのうち貴兄にも何かでご協力をお願いするような事態が生じるかもしれませんが、そうなった折にはどうぞよろしく。(なお明二〇〇五年の日本大会は、それと同じ横 浜の会場で、できるだけ世界大会と同じ方式で開かれます。たずさわるメンバーも両大会はかなり重複していますので、特に二年後のリハーサルをめざしたわけでもないのでしょうが、スタッフにとってはいい経験になるはずです。)
もうひとつの朗報は、先般の参議院選挙で、秋田放送のニュースキャスターをやっていた鈴木陽悦氏が無所属で当選を果たしたことです。氏は三十数年前に東京で大学生だったころからのSFファンで、当時はわたしともごく親しい仲でした。とにかくSFファンから国会議員が出たのは今回がはじめてです。(前述の本荘市の地域大会は氏の息がかかって実現したもので、わたしが顔をだしたのも氏に会うのが大きな目的のひとつでした。会ってみるとSFへの情熱はまったく昔と変わっていないようで、これからSF界のために色々役に立ってもらえるのではないかと期待しているところです。)
いつもながら、あれこれ書きはじめると長くなってしまいます。とりあえず今回はこれにて失礼します。これからも変わらぬご奮闘を、心よりお祈り申し上げます。

敬具

十月十一日

柴野拓美

小西昌幸様

杉浦康平『宇宙を叩く』(工作舎)

本紙2004年8月号「文化ジャーナル」でお知らせした杉浦康平氏の新著『宇宙を叩く 火炎太鼓・曼茶羅・アジアの響き』(工作舎、2004年10月11日)がついに刊行された。A5判・上製346頁。定価=本体3600円+税。人の聴覚の成立過程から始まり、アジアの美しい大太鼓(日本の火焔太鼓、中国と韓国の健鼓)をめぐる図像考察はやがて、両界曼茶羅に焦点が結ばれてゆく。膨大な美麗図版が散りばめられた宝石のような書物。スリルに満ちている。なおギンザ・グラフィック・ギャラリーで10月5日から30日まで開催された「疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展」に関連し、同名の本がトランスアートから発売された。こちらも要注目だ。

【2004・11・06/文中一部敬称略/文責=創世ホール・小西昌幸】

宇宙を叩く本の表紙

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