文化ジャーナル(平成19年2月号)

2007年2月1日

文化ジャーナル2月号

『まんがNo.1』の時代(7)

長谷邦夫さん インタビュー

出■長谷邦夫(漫画家、大学講師、漫画論、栃木県在住)

席▲坂本秀童(徳島謄写印刷研究会代表、牟岐町出羽島在住)

者●小西昌幸(北島町立図書館・創世ホール企画広報担当)

小西●続いて、執筆登場者のエピソードをお聞きしてゆきたいと思います。小説が平井和正さんで、これはもちろん長谷さんのルートだと思いますが、平井さんはすんなりOKを下さったんですか。

長谷■一応取れましたね。僕が初めて平井さんのところに原稿依頼に伺ったときに平井さん何ていったかというと、「長谷さんだったら筒井康隆だろうが」って言うんだよ(笑)。「それはちょっと楽屋オチ過ぎるんじゃないですか」って。「僕はSF好きで、筒井康隆教ではあるけれど、だからと言って、編集者として僕は来てるんですから。僕は『宇宙塵』の同人だったから、平井さんの小説は最初の頃から読んでるし、平井さんのファンでもあるんですよ」って。だから来たんですと。そうしたら「じゃあ書きます」って言うことでねOKしてくれた。ただし注文があるんですと言って1つだけお願いしたんですよ。それは、今までに平井さんが書いてないものを欲しかったので、内容はご自由ですけれども、女性を主人公にして下さい。条件はそれだけ。さし絵は楳図(うめず)かずおさんで決まってますって。

坂本▲楳図さんとセットで女性主人公ということですか。

長谷■そうです。まだ楳図さんには依頼してなかったんだけど(笑)。

坂本・小西▲エーッ(笑)。

長谷■依頼してなかったけど、もう決めてたからね。彼の仕事場は高田馬場駅のすぐそばだから、下落合のフジオ・プロ経出勤の途中、時々お見掛けしてあいさつを交わしていたんですよ。

小西●平井さんは、ちゃんと半年間、毎号連載をやって下さっていますね。

長谷■ええ、きちんとお書きになっています。

小西●原稿の締め切りは守っていただけたですか。

長谷■普通に入っていましたね。著者校正出さずに、一度、編集者として怒られたことはあるけど。

小西●楳図さんのイラストは、平井さんの小説に目を通してから描くので小説原稿を早目にいただくわけですね。

長谷■そうですね。ただし、これは未完に終わっちゃったんですね。だって、6号で『まんが No.1』は休刊したから。これが僕自身が納得できなかったんですよ。だけどこの際しょうがない。とにかく6号で終えなくちゃだめだから、やめようと決心した以上は、平井さんのところに謝りに行って。だけど「平井さん、ここまで書いちゃったんだから思い切って最後まで書いて下さい。その分は増刊号出しますからそこに後半ラストまでの特集しましょう」と。そういう依頼したんですけどね。なんか心臓が具合悪いとかでね。書いてくれなかった。でも何年かして高千穂遥氏から教えていただいたんですけど、「あの連載は『悪霊の女王』になってるよ」って。だから新書判として加筆してまとまったということだよね。

小西●実を結んだわけですね。よかったですね。

長谷■そうですね。それを聞いたときはほっとしたけどね。平井さんには申し訳ないことでした。

小西●付録ソノシートのことをもう少しお聞きしたいのですが、三上寛さんを最初に使うというのは当初からの構想としてあったのですか。

長谷■彼の歌は何度もコンサートで聞いているし、個人的に飲み友達として付き合っていた部分もあったから、彼の場合はそんなに 問題なかったですね。

小西●三上さんに長谷さんの詞を渡して、何日か後にレコーディングですといって依頼されたんですね。

長谷■そうです。だから、まあ半月ぐらいで出来たかね。

小西●付録ソノシートは、基本的に長谷さん作詞のものですね。

長谷■わがままで、僕がやってしまいました。ラスト(6枚目)の「ホイ!」は、三上寛の2度目の登場でこれだけは奥成達の作詞。ぼくに三上寛を紹介してくれたのは、奥成さんだから、この次はやってよっていって頼んだ。この時は、「ホイッ」というかけ声の録音をとるためだけに山下洋輔だとかね上村一夫だとかが集まった。一声を入れるためだけに、録音スタジオに呼びつけたんだよ(笑)。イントロにソプラノ女性の歌が入るでしょう。あれは洋輔さんが編曲してくれた。

小西●本当にすごい顔ぶれですね。1号は少年Aとして三上寛、6号は素性をさらして三上寛再登場。2号が中山千夏さんです。中山さんは旦那さんのジャズ・ピアニスト佐藤允彦さんとの共演ですね。

長谷■僕は、佐藤さんとはお会いしたことがなかったんだけど、ほら、僕が山下洋輔トリオばかりを聞いてるってことを、允彦さんは知ってるんだよ(笑)。でも、僕も佐藤さんのジャズを多少は聞いているんです。ライヴはあまり行ってない。でも山下さんとデュオでピアノ・バトルをやったのを聞いてます。

坂本▲毎週はねえ・・・・。

長谷■(笑)僕は山下教なんで毎週月曜日に聴いていた。さっきの平井和正さんじゃないけど、「長谷さんなら山下さんでしょう」っていわれても当然なんだけどさあ(一同爆笑)、 佐藤さんはそういうこと言わなかった。「ああ、やるよー」っていってね。それはねえ、どうしてかというと、テレビ番組で滝田ゆうとか赤塚不二夫とかマンガ家を使って作詞してもらってそれをロックにするっていう、そういう趣向の番組があったんだよね。そのときに千夏ちゃんがねえ、赤塚作詞の歌を歌ってくれたんだよ。それで千夏ちゃんと赤塚が友 達になったことがあってね。そういう縁なんですよ。で、千夏ちゃんが『まんがNo.1』でやってくれれば旦那の佐藤允彦さんも出てくれるはずでしょ。実はテレビ用の歌詞も僕が書いたんですよ。新聞広告の文句を適当にコラージュしたものを。

坂本▲三行広告みたいなものですか。

長谷■そうそう。広告コピーをつないで面白い歌詞に構成した。バンドは允彦グループの《がらん堂》。それを千夏ちゃんがみごとに歌っていたからね。これは行けるなあと思ってね。それで例によってね、これも厳密には、作詞はしていないんだ(笑)。『自衛隊讃歌』なわけでしょ。「自衛隊が正しい」って言う歌なんだ(笑)。小西さんって言う 隊員なのに政治活動した人がいましたよね。

小西●小西誠さん?

長谷■そうそう、小西誠さん。あの人の書いたエッセイの中に隊員の誓いの言葉というものがあった。それを歌っているんだよ。最初は朗読にジャズ・ブルースをバックに流す企画だった。それを千夏ちゃんが補作詞して歌ったんです。〔次号に続く〕

【一部敬称略/収録2001年3月5日 徳島市・ふらんせ蔵/採録文責=小西昌幸】

まんがNo.1のイラスト

▲『まんがNo.1』第2号付録ソノシート「DISCOVER WAR」(唄・中山千夏)の台紙

  イラスト=中山千夏

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