平成28年4月1日より『北島町私債権管理条例』が施行されました

2016年6月8日

  昨今、地方自治体が取り扱う金銭債権の適切な管理が課題とされている中で、国の「債権管理事務取扱規則」にならい独自に債権管理事務の適性化や合理化などに取り組む自治体が増えています。北島町においても、平成28年3月議会定例会において、本町が取り扱う私債権の債権管理を重点にした「北島町私債権管理条例」の制定が可決されました。

北島町私債権管理条例 (PDF 91.7KB)

 

《債権管理について》

 「債権管理」とは、北島町(=債権者)として行うべき債権の保全や徴収、内容の変更(履行期限の延長、債権額の一部減免等)および債権の消滅に関する事務を言うとされています。

 

《町が取り扱う金銭債権について》

 「債権」という言葉は、日常生活においてもよく耳にする単語です。「債権」=「お金」を連想される方も多いと思われますが、「債権」とは債権者が債務者に対して一定の行為を請求する権利であるとされています。つまり料金や代金などの支払を目的とする権利であれば、その債権は「金銭債権」ということになります。

 この金銭債権は、債権の発生原因などから「公債権」と「私債権」のいずれかに分類されます。例えば、町の私債権として主だったものは、「水道料金」や「貸付金」「給食費」などの金銭債権が該当します。また、公債権に該当するものは、税金や介護保険料、下水道使用料などが挙げられます。

 

《公債権について》

 公債権に該当する金銭債権のうち、町が取り扱うもので大部分を占めているのが租税です。例えば住民税などの場合、町が独自で滞納者に対して給与などの財産調査をすることができ、更に滞納処分(財産などの差押、換価、充当)をすることができます。

 

《私債権について》

 私債権に該当する金銭債権のうち、町が取り扱うもので大部分を占めているのが水道料金です。私債権の場合は、町が独自で滞納者の財産を調査する公権力がありません。また、滞納処分のような強制的な徴収をする権限も与えられていません。従って、最終的な債権回収にあたっては、裁判所への申し立てによる「民事訴訟手続き」によって、滞納債権を回収することになります。

この他にも、消滅時効に係る規定などの事務的な取り扱いについても公債権と私債権とでは、規定が異なります。

 

《北島町私債権管理条例の目的と効果について》

 昨今の判例や法令解釈、または債権の性質によって根拠法令などや執るべき事務手続きが異なり、本来やれなければならないことが不明確になりがちです。また、多様化する債権管理に機動的に対応しきれない現状などが、多くの自治体で課題となっています。このように自治体が抱える債権管理の諸問題を克服し、より適切な債権管理が行えるよう北島町としての私債権の管理に関する道筋を整備したものが、「北島町私債権管理条例」です。

 

《条例制定の目的》

 常に費用対効果と合理的かつ実効的な債権回収を考慮した債権管理事務について町長の責任を明確化します。

①行法令などにおける不具合などを補い、債権管理事務の合理化を図ります。

②「納付」「強制執行」「放棄」についてその取り扱いを明確化し、債権管理

体制の確立と強化および合理化を図ります。

 

《条例の運用により期待される効果》

 債権者として行うべき徴収規定を集中的に明文化した条例となっていることから、滞納債権の回収などに関する事務がさらに徹底・強化されることが期待されます。

また、町長の専決処分事項を規定したことによって、滞納者に対する民事訴訟手続きがよりスムーズに処理できるようになり、債権放棄規定を条例に盛り込むことで、債務者が行方不明などの場合に存続し続けてしまう不良債権を適切かつ合理的に処分できるようになります。