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文化ジャーナル(平成13年10月号)

文化ジャーナル10月号

杉浦康平先生の講演会に総結集を
10・20講演会「ブック・デザインの宇宙」開催迫る

前号の「創世ホール通信/文化ジャーナル」は遅れに遅れ、9月7日の発行となった。今号も遅れていて今日が10月6日だ(本来は毎月1日発行)。この2か月やるべきこと成すべき事が常に目の前に山積しているのだが、どうも段取り良くいかない。時間が圧倒的に不足しており、先月末から残業を続けることにした。どの取り組みもイメージ通りの展開になっておらず不十分なのである。気ばかり焦って、とにかく締切日が近いものから順に片づけてゆくはめになる。ただただ反省の日々である。なのに、物忘れも甚だしくなっていて、大切な用事をすぐ忘れ、休日にひたすらぼんやり過ごすこともある。

9月10日は月曜日で休日だったが、この日は朝から充実していた。日清紡徳島工場を訪問したのである。事前に三好学製紙課長に連絡を取り、同日11時に会社を訪れたのだった。社内で配布していただくために杉浦康平先生の講演会チラシとポスターを持参、もちろん竹尾のご厚意で作っていただいた美しいカラー・チラシ(杉浦先生デザイン)も持参した。その他私は自分用の参考資料として竹尾の『紙とデザイン』、工作舎の『人間人形時代』、NHK出版の『かたち誕生』などを用意した。面会室で待っていると、三好課長はすぐやってきた。

三好課長のお話を聞いて、いくつかの興味深い新事実がわかった。(株)日清紡徳島工場も紙を作っていること。私は日清紡が製紙部門を持っていることをつい最近知ったのだが、徳島では作ってないと勝手に判断していた。これは誤りで、平成年代以降徳島工場でも製紙部門を配置して、製造していたのだった。「それは知りませんでした」という私に、窓の外を指さして三好課長が言った。「今出ていってるトラックは、東京の竹尾本社に行くんですわ」。
杉浦康平先生が何度か徳島工場に足を運んでおられること。『紙とデザイン』で杉浦先生がお書きになっていたとおり日清紡が作り竹尾が販売している紙「NTラシャ」の増色監修のことなどで3者がそれぞれ関わりが深いことは分かっていたが、まさか先生が徳島工場に来ておられたとは知らなかった。創世ホールと日清紡徳島工場は車で5分もかからない距離である。
「NTラシャ」は杉浦先生のお気に入りのようで、『かたち誕生』ほか多くの書籍に使用されている。Nは日清紡、Tは竹尾のそれぞれ頭文字から取ったものだ。 三好課長はおみやげに「NTラシャ」の色見本帖をくださった。杉浦先生が色の監修をし、当該色のネーミングにも直接関わっている重要資料である。10月2日からの特別展示でガラスケース内に謹んで飾ることにした。

9月11日、職場に三好課長から電話があった。「工場長に小西さんのことを話したら、一度見学に来ていただいたらよいといっていた。いつでもおこし下さい」。その後風の便りに、日清紡徳島工場内で、三好課長が各課長に杉浦先生の講演会チラシを渡してPRして下さっていることを知った。

9月25日、私は日清紡の製紙工場を見学した。製紙工場は、160メートルの長さがある。24時間体制で、緻密なスケジュールによって運営される製紙作業の工程は、見学していてわくわくするほど面白かった。グレイのCDジャケットなどにも日清紡の紙が使われているのだそうだ。百万枚単位の超ベスト・セラーのアルバムで、追加プレスが相次いだりするとスケジュール管理が物凄く大変だろうと思う。

製紙課の応接間には、日清紡の紙に刷られたポスターがいくつか貼ってあった。確か「ドイツの美しい本」展のポスターがあったと思う。『花宇宙』の図録もあり、この図録も展示することになった。

9月28日、我が町の教育委員会に頼んで、パネルボードを3枚借りることにした。当館の吉田所長と台車を転がしながら運んだ。杉浦先生のデザインされた書籍や雑誌と、当館所蔵の貸し出し可能な関連本も並べたかったので、あえて図書館内にカレンダーやポスターを展示することにしたのである。

9月29日、徳島アイルランド音楽愛好会のメンバーで、洋裁職人の桃井さんに創世ホールに来ていただき、終日「写研カレンダー」の飾付け等の作業をしてもらった。このままでは、展示が10月2日からスタートできないと考えたので、特別に私が応援を依頼したのである。おかげで無事、予定通りに開催することができた。21日までの会期なので、ぜひご覧になっていただきたい。

2つのガラス・ケースに次のものを配置した。『季刊「銀花」』13点、『世界幻想文学大系』2点、『宮武外骨著作集』2点、『平凡社カルチャーtoday』2点、『自然と文化』2点、『噂の真相』2点、『文字の宇宙』、『人間人形時代』、『曼茶羅イコノロジー』、『アジアの宇宙観』。これらは、私や桃井さんの所蔵物が大半である。

日清紡提供のものは3点。『花宇宙』図録、『日本のかたち・アジアのカタチ』、『NTラシャの見本帖』。

それから珍しいものではブータン王国の切手がある。これは杉浦先生が同国の依頼を受けて1982年に作ったもので、徳島県市場町の井内和代さんの提供。井内さんは、当館の催しによく来て下さる方で、いつもご支援をいただいている。昨年彼女がブータンにご旅行された折りのおみやげの切手の中に、なんと杉浦先生デザインのものがあったというわけなのである。小さいものだが、現物をみる機会はあまりないと思うので、チェックしていただきたい。

イレパネに収めて展示しているのは「写研創業70周年記念ポスター」、各種催しや本の内容見本の「チラシ」14点(パネル2枚)、「世界幻想文学大系第3期ポスター」(紀田順一郎氏提供)である。

ガラスケースの上には、写研からお借りした超豪華本『文字の宇宙』と『文字の祝祭』を飾っている。貸し出し不可だが閲覧可能。手に取ってご覧下さい。ただし重たいので、取り扱いにはくれぐれもご注意を。

「写研・文字の生態圏カレンダー」は、過去10年分の中から選りすぐりの30点を館内に貼りめぐらせた。

今回の催しではインターネットのいくつかのサイトで応援していただいている。工作舎、イーター、名張人外境、アーツカレンダーなどである。いずれも創世ホールのイベント情報にリンクをはって、詳細情報が出てくるようになっている。詳細情報の中の、チラシのところをクリックすると、杉浦事務所デザインの極彩色の「10・20講演会」美麗チラシの画像が現われるようになっている。それから北島町のホームページでは、当「文化ジャーナル」も8月分から読めるようになった。そのため、おかげ様でというか何というか「小西昌幸」で検索すると、8月号の「日下潤一個展・海野十三邸・杉浦事務所・佐藤タイポグラフィ研究所等訪問記」が引っかかってきたりするのである。パソコンをお持ちの方はぜひ覗いてみて欲しい。

10月20日(土)午後6時半から開かれる杉浦康平先生の講演会「ブック・デザインの宇宙 本の森羅万象」に、こころある人たちの絶大なるご支援をお願いします。ご期待ください。

(2001年10月6日脱稿 小西昌幸)

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