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文化ジャーナル(平成17年1月号)

文化ジャーナル1月号

『音の力 (ストリート) 復興編』(2004年12月、インパクト出版会刊)
創世ホール自主事業にもスポット

2004年12月20日、インパクト出版会から『音の力〈ストリート〉復興編』という本が刊行された。同書は、巨大音楽産業におさまらない音楽現場の紹介研究や、既存の大資本による市場と対抗する文化産業の創出の必要性を解く音楽批評集団 デムジーク・インター(DeMusik Inter)編著による『音の力』シリーズの第5弾。

本の表紙

19人の文章や座談会、インタビューなどが掲載されている。その中に、恥ずかしながら不肖・小西も混じっており、96頁から115頁にかけて掲載の 座談会「地域発アンダーグラウンド」に登場する。その座談会は、大熊ワタルさん(クラリネット奏者、シカラムータ、在東京)、石橋正二郎さん(自主レーベル・FMNサウンドファクトリー主宰、在京都)と小西の3人によるもので、大熊さんが聞き役になって、小西や石橋さんの活動・足跡を振り返り、それを元に語り合うという展開である。

座談会では、創世ホールの活動にもスポットが当てられ、健闘を称えられるような内容になっている。図版には、小西がこれまでに作ってきたミニコミ『ハードスタッフ』既刊12冊や単行本『板坂剛の世界』と共に、種村季弘、長谷邦夫、竹内博各氏の講演会や昨年2月の伊福部昭先生卒寿記念祭などのチラシも掲載されている。同書は、徳島では紀伊國屋書店などに並ぶはずだし、もちろん最寄りの書店から注文可能。北島町立図書館にも近日入る予定である。

同書の書誌データは次のとおり。編著者=DeMusik Inter(デムジーク・インター)。書名=『音の力〈ストリート〉復興編』。2004年12月20日刊、インパクト出版会発行。A5判、222頁、ソフトカバー。

小西は、同書の印税を返上し現物支給+買い取りで30冊送ってもらった。そして長谷邦夫〔ながたに・くにお〕さん、紀田順一郎さん、柴野拓美さん、野坂恵子さん、木部与巴仁〔きべ・よはに〕さん、伊福部昭さん、遠藤ミチロウさん、旭堂南湖さんなど、館とゆかりのある方々に謹んでプレゼントした。

せっかくなので作家の木部さんに同書についての感想を書いて欲しいと依頼をしてみた。木部さんは年末年始の多忙な時期にも関わらず、次のようなラップ詩をお寄せ下さった。感謝と共に以下に全文を掲載させていただく。

ラップ詩:音の力  木部 与巴仁

音の力を私は欲しい
思いをそのまま正直に、口に出して手を出して、足も出す
それが音の力になる。私を生かす音の力。音の力に生かされる私
小西昌幸さんが徳島から送ってくれた本『音の力〈ストリート〉復興編』産業や体制、常識。できあがった枠からはみ出して、どんどん増える路上の音。路上の音楽
その音の力をいろいろな人がいろいろ語り、書き、いろいろに考える
宋安鍾〔ソン・アンジョン〕さん「『失郷民』のうたが聴こえる』」。失郷民〔しっきょうみん〕は韓国語のシリャンミン。故郷を離れた後で自分の意思とは無関係に帰れなくなってしまった人たち
小田マサノリさんと酒井隆史さん「フォークゲリラ・ノーリターンズ!?」栗谷佳司さん「開かれる『うた』の空間」、などなど
小西さんは石橋正二郎さん、大熊ワタルさんと語り合う。「地域発アンダーグラウンド」。「ここから始めろ!」とも見出しにある
小西さんが学生時代に始めたミニコミ「ハードスタッフ」。ガリ版刷りの雑誌にこめた思いは今も続き、形を変えて創世ホールの舞台や文化ジャーナルの紙面に表われる
約30年の歴史。思わず口に出してみる。小西さんの歴史は30年。長い。私が知り合ってからも20年以上が経つ
「街に面白い雑誌がなかったから、自分でつくって面白くしたらいいじゃないか、とそういう発想」
「『ハードスタッフ』は──『ガロ』と『傷だらけの天使』と『大都会』第一シリーズ、板坂剛、府川充男、『ウルトラマン』、『ウルトラQ』、『怪奇大作戦』などをミックスしたような雑誌」
「ミニコミは自分の心のよりどころというのでしょうか、特に税務課で暗い仕事をしていたころは、やっぱりひとつの生き甲斐で、本を作る行為は命の洗濯のようなものだった」

何かが私を突き上げる
突き上げてきて1ページも読み進められなくなる
読むうちに生まれた思いのかたまり
かたまりが大きくなってくる。どんどん大きくなってくる
突き上げられて椅子から立ち上がり、がまんできずに家を出る。ストリートに飛び出した

小西さんは音楽が好きだ
小西さんに電話をかけるといつも聴こえる。受話器の向こうから微かな音が小西さんを生かしているのは音の力
東京や大阪に行くたび、彼はメモを片手にCDを買いまくる。数か月に一度、半年に一度、高めた思いを力にして
小西さんは音の力を信じている
「ハードスタッフ」、創世ホール、文化ジャーナル、など。彼の歴史を支えるのは音の力 人は音の力を欲しいと思う
私は音の力を欲しいと思う
それは生きるための力。生きてゆくための力
腹がふくらまなくても心がふくらむ。音の力は生きてゆくための力になる
歌いたい、心の底から。思いを声に出して
突き上げる思い、あふれ出す思い
音の力に生かされる 今日も

●小西昌幸氏より『音の力〈ストリート〉復興編』を受け取って

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