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文化ジャーナル(平成17年2月号)

文化ジャーナル2月号

1月9日に2階ハイビジョン・シアターで開催した「遠藤ミチロウ◎新春ライヴ」は、年明けそうそうということもあって、客の入りが大変気がかりだったが、ほぼ昨年なみの入場者(40名超)があり、盛況だった。何しろ年末の時点で図書館で売れたチケットは5枚という有様だったので、本当に心配したのだ。私(小西)の書いた年賀状(余白にチケットの売れ行きのことを書いて助けを求めた)をみて足を運んでくれた人も多くいた。心から感謝したい。愛媛からの来場者のほか、北島町出身者で現在東京で暮らしている青年がわざわざこのコンサートのために駆けつけてくださるという感激すべきエピソードもあった。ありがたいことだといわねばなるまい。遠藤さんは、いつものように小西宅にお泊りになり、翌日徳島駅から高知へ移動された。

当面の館の重点イベントとしては、3月20日開催の九條今日子さん講演会「夫・寺山修司を語る」に向けて全力投球である。

九條今日子講演会「夫・寺山修司を語る」 チラシ、ポスター完成!

九條今日子さん講演会「夫・寺山修司を語る」のチラシ、ポスターが完成しました。町民の方には広報紙「町報きたじま」2月号にはさんで全戸配布します。チラシは徳島県内の公立図書館、主要公共施設(文学館、ドイツ館、文化の森など)には置いていただくよう手配済です。その他、四国・近畿の文学館や美術館や図書館など十数か所にも送付しました。私(小西)は2月上旬大阪にゆく予定があるので、心斎橋のアルケミ-・ミュ-ジック・ストアやベルリン・ブックスなどにはチラシを直接持ち込みさせていただこうと考えているところです。

ご希望の方には郵送しますので、遠慮なく電話、ファクシミリ、電子書簡等で創世ホール・小西までご連絡ください。少しでも多くの寺山修司ファンにお知らせしたいと考えているのです。どうか皆様のご支援ご指導をよろしくお願いいたします。 注目イベント案内◎マン・レイ展(徳島県立近代美術館)

徳島県立近代美術館で「マン・レイ展」が開かれている(2005年1月15日-3月21日)。関連行事として1月23日に巖谷國士氏が講演。私も参加し種村季弘先生講演会時の資料などを進呈し『澁澤龍彦を語る』と『回想の澁澤龍彦』にサインを頂戴した。「マン・レイ展」は素晴らしい展覧会である。 ◎疾風迅雷─杉浦康平雑誌デザインの半世紀展(大阪堂島)

大阪堂島のDDDギャラリーで2月7日まで「疾風迅雷─杉浦康平雑誌デザインの半世紀展」を開催中。1月12日15時30分から杉浦康平先生のギャラリー・トークがあり、参加した。息を呑む美麗画像をスクリーンに全面展開、ただただ圧巻の2時間超の講演だった。私は最前列で佐藤篤司さんの隣に座って拝聴。講演後、先生に『音の力〈ストリート〉復興編』を差し上げた。 『子不語の夢─江戸川乱歩 小酒井不木 往復書簡集』

本書は2004年暮れの読書界の話題をさらった本。「二銭銅貨」でのデビューまもない江戸川乱歩が先輩作家の小酒井不木〔こさかい・ふぼく〕 に礼状を書いたのが1923(大正12)年7月1日のことで、不木は7月3日に返事を書く。それ以降両者は頻繁に文通を行なった。本書には1929(昭和4)年4月1日に不木が肺炎で亡くなるまでの両者の書簡(乱歩書簡33通、不木書簡120通)が収録されている。

きちょうめんな乱歩は、不木からの手紙を一括製本し保管していた。不木に宛てた乱歩からの手紙は多くが散逸したが、それでもこれだけの手紙が残されたのはやはり奇跡的なことであるのはいうまでもない。何しろ70年以上も前の資料なのだから。

本書の原動力となったのは、三重県名張市立図書館嘱託の中相作氏の構想力・実行力と人徳によるところが大きい。彼は、乱歩リファレンス・ブック三部作できわめて優れた業績を刻んだ人だ。今日、乱歩研究界で中氏の名を知らぬ者は誰一人いない。

数年前、骨董市場から不木宛ての乱歩書簡約30通が出て、それを心ある古書店主が保護し、成田山書道美術館で展覧されて話題になった。ぜひそれの内容研究に踏み込んで、乱歩が保管している不木の手紙と対比してみたいものだと、中氏がご自身の運営されているホームページ「名張人外境」で書いていたことがあった。

おりしも、三重県では松尾芭蕉生誕三百六十年を記念して「生誕360年 芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業なる不思議な名前の同時多発的地域活性化イベントが企画されていた。往々にしてこの種のものは、億単位の金をつぎ込んで、中央の広告代理店などの餌食にされ一過性のものとして終わってしまうことが多いことはご承知のとおりだ。しかし中さんは本書の企画を仕掛けて、せめて1つだけでも文化的文学的に意義あるものを実現しようと思いつく。思いつくだけなら誰でもやることだが、彼は1年ほどの間に最良最適任の研究家達を総動員して、書物の形として実現してしまったのだ。しかも東京の出版社を販売元にして全国流通させるという離れ業まで組み込んだのだから、私などただただあきれてしまうしかない。こんなにも有効な税金の使い方がほかにあるだろうか。いうまでもなく書物は腐らず、後々まで残り、売れれば元は取れる。NHKの「プロジェクトX」に取り上げられても、私は全く驚かないだろう。

『子不語〔しふご〕の夢』という書名は、不木が乱歩に贈った書の言葉で、『論語』の「子不語快刀乱麻」に由来する。往復書簡の面白さはもちろんのこと、驚嘆すべき脚注の分量、行き届いた論考・解説など、内容にまで踏み込むといくら書いてもキリがないので、以下は書誌データのみ記しておく。

『子不語〔しふご〕の夢─江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』中相作・本多正一 監修、浜田雄介編。A5判・上製・360頁。CD-ROM付き。定価4200円+税 。2004年10月21日初版発行、同年12月1日第2刷発行。発売=皓星〔こうせい〕社。

【2005年2月1日脱稿 創世ホール企画広報担当・小西昌幸】

講演会の様子

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