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文化ジャーナル(平成17年6月号)

文化ジャーナル6月号

東京訪問記2005年5月12・13日

5月12、13日と東京訪問した。メインの目的は、12日夜渋谷公会堂であるジェスロ・タル公演(2日目)鑑賞である。せっかくなので、いつものように過密日程を組んだ。羽田空港に9時前に到着し、飯田橋へ。モリサワのギャラリーにも徳島出身の編集者・小浜徹也さんのいる東京創元社にも寄らず、てくてく歩いて「プランタン=モレトゥス博物館展」を開催中の印刷博物館を目指した。ここで10時半に府川充男さんと待ち合わせているのだ。府川さんは少し遅れてサンダル姿で現われた。府川さんの解説付きで展覧会を見学し、早稲田に出て一緒にカレーを食べたあと私は護国寺へ。

13時半から出版芸術社の原田裕社長にインタビューするのである。到着すると池田憲章氏が既に原田さんとお話されていた。近所のファミリー・レストランで2時間超のインタビューをした。原田さんの少年時代の読書体験から講談社入社、山岡荘八さんや吉川英治さんなどの大衆作家との交流について詳しく伺った。結局時間が足りなくなり、江戸川乱歩さんや鮎川哲也さんや山田風太郎さんのこと、SFの話題までとても聞けなかったので、それらは次回に持ち越しとなった。あと4時間は軽くお話を聞けるのではないか。次の上京の際に続きのインタビューをお願いしようと思う。物凄く大きなチョコレート・パフェをご馳走になりおなかがいっぱいになった。

それから渋谷へ。17時頃杉浦康平プラスアイズ着。2005年の写研カレンダーを受け取りに訪問。5分ぐらいですぐ辞去した。そして軽く食事をとったあと、渋谷公会堂へ。19時調度にジェスロ・タル公演が始まり、私は感動を胸に刻み続けた。隣の席の男性は北海道からきていた。道庁の職員で水産関係のお仕事をされていた。北海道の魚のことならなんでもお聞きくださいといわれた。私同様50歳前後の中年サラリーマンが会場を埋めつくしていて、多くの人が目を赤くしていたと思う。催しの余韻を胸に目白の宿舎へ直行した。

翌13日は、西新宿の常円寺の墓所に行って石川力夫のお墓で手を合わせた。そこからまっすぐ引き返したらよかったのに、別ルートでレコード店ガーデンシェッドに行こうとして20分近く道に迷った。12時、ディスクユニオン本店6階で木部与巴仁氏と横山寿信氏と待ち合わせ。近くのお好み焼き店で近況を報告しあった。木部さんは合唱曲の作詩をしたそうだ(作曲は甲田潤氏)。それから夏に長崎である現代音楽の催しに関わっているという。この長崎の催しへの関与は、創世ホール講演会が一つのきっかけになっている。

15時、北千住のシアター1010(センジュ)へ。ギャラリーで「ジャパン・アヴァンギャルド─アングラ演劇傑作ポスター展─」。天井桟敷、状況劇場、土方巽、大駱駝鑑などのポスターの実物86点が展示されている。寺山修司生誕70年記念イベントの一環。寺山さんの本も書棚に展示されている。すみずみまでたっぷりみた。今夜19時から、「奴婢訓」公演があり、その後九條今日子さんの参加する鼎談「寺山を語る」もある。しかし私はあす仕事があるので、九條さんにお目にかかることはできない。16時半シアターセンジュを出た。そのまま東京撤収し、羽田空港へ向かった。


北海道訪問記2005年5月18-20日

東京訪問の次の週、今度は2泊3日で北海道に行った。所属する労働組合に文芸会議という組織があり、私はその会議の四国地方の幹事という立場になんとなくなっているのである。ちなみに中国地方の幹事は飛 浩隆氏(『SFが読みたい! 2005年版』選出ベストSF2004国内篇第1位『象られた力』の作家、島根県職)である。その定例会と文学散歩が19日にあるので参加した。

18日(水)の11時15分に新千歳空港着。空港には山田雄司さんが来ていて出迎え。今日は案内していただくのだ。山田さんは、北海道の早来町在住。昨年の伊福部昭先生卒寿記念祭で徳島まできてくださり、小西宅にお泊りになった。駐車場整理係もやってもらった。

この日は山田さんと、HMV、古書店さっぽろ堂、さっぽろ萌黄書店、某輸入盤店、レコード・レコードとまわった。さっぽろ萌黄書店にもっとも長時間滞在した。同店の坂口仁店長に徳島のフィッシュカツと竹輪をお土産として持参。山田さんにもお渡しした。札幌駅のそばの店で夕食を一緒にとって解散。

19日は、終日会議と文学散歩。

20日は、坂口さんのご好意で市立小樽文学館にお連れいただくことになった。朝10時前に札幌を坂口さん運転の車で出発した。坂口さんの同業者である古書薫風書林の佐々木隆さんも同乗。小樽文学館は企画が大変ユニークで学芸員の玉川薫氏が頑張っている施設だ。2002年夏の北海道訪問の際も「小樽文学館にはぜひ行くべきだ」というご意見を何人かの方から頂戴していた。今回の北海道訪問で最終日の日程をどうするか私は逡巡していた。古書店まわりやレコード店まわりなど時間潰しはいくらでも可能なのだが、訪問数日前、さっぽろ萌黄書店の坂口店長から、案内するから小樽へ行きませんかというお誘いが絶妙のタイミングであったのである。坂口さんに案内をおまかせしますとすぐ返事を出したら、その直後に玉川学芸員がお店に来られたので、徳島の小西を連れてゆくという話をしてくださっていたらしい。こういう場合は天の釆配に身を任せるしかないのである。

小樽文学館は古い歴史的建造物を活用した施設で、美術館も併設されている。私は玉川氏へのお土産に「創世ホール通信」のバックナンバー数十号分と「要覧」数年分と催しのチラシ+当日配布資料をいくつか差し上げた。それから約1時間ずっと、互いの仕事のことを話し合った。押し寄せる地方の財政危機と指定管理者制度の問題は小樽も同様であるとの由。私は、今年の創世ホール講演会は記念すべき10周年なので原点回帰を考えていて、恩義のある著名な講師先生と交渉中であること、その際今後の講演会は毎回背水の陣で望まねばならないといけないのですとお伝えしたことを紹介した。

文学館の手前のカフェのところでずっと話し込んでしまったため、文学館見学ができなくなるので会話を切り上げた。入館料を払って文学館に入ると、一人5冊まで無料で持ち帰っても良いという古本がずらーっと並んでいる。結局ここでいきなり足止めを食っておくに進めない。1時間たって入館し、いきなり古書の海に溺れてしまいその後施設の奥へは1メートルしか進んでいないのだ(古書コーナーは横長で、総数は数千冊)。古書店主2名はもちろん私以上に進めない。

小声で私はいった。坂口さん、秋元文庫がありますよ、この3冊どうぞ、あ、ここにこんなものが、あそこにはあんなものまで。確かこの『ミュージック・マガジン』にJOJO広重さん(アルケミー・レコード社長)が小西のミニコミを紹介してくださっているんですよ、ええとですね、ほれ。坂口さんがその頁を開いて玉川さんに見せている。という具合に、瞬く間に小樽文学館での時間が過ぎていった。幸福なひとときというのはこういうことをいうのだろう。私は必ず再びここに戻ろうと決意した。そして坂口さんの運転で12時前に小樽をあとにし札幌へ。楽しい時間を過ごせて心地よかった。 アルケミー・スペシャル・ナイトINトクシマ

アルケミー・レコードは大阪で1984年に誕生した自主レーベルである。芥川賞作家の町田康も人脈的に深く関係している。アルケミーの代表的アーティスト2組の徳島初公演が7月8日にある。小西はそのお世話をしているので、以下催しの紹介をさせていただく。


【アルケミー・スペシャル・ナイトINトクシマ】

日時:2005年7月8日(金)19時半開演 19時開場
会場:アンカーベイ(新店舗)Tel088・623・7768
徳島市秋田町1丁目45池田ビル2階(紺屋町アクティビル南50m)
出演:JOJO広重、北嶋建也+柿木義博
入場料:3000円(前売当日共)・1ドリンク付き
チケット取扱:アンカーベイ、ガレージマニア、創世ホールほか
主催:ハードスタッフ(小西Tel088・698・2946、下野Tel088・698・0063)

(文責=北島町立図書館・創世ホール企画広報担当 小西昌幸)

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