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文化ジャーナル(平成17年12月号)

文化ジャーナル12月号

新刊情報

九條今日子『回想・寺山修司』

2005年3月の創世ホール講演会「夫・寺山修司を語る」で大好評だった九條今日子さんの待望の1冊がついに刊行された。青森県の地方紙「デーリー東北新聞」で2003年7月から2004年12月まで九條さんが連載したエッセイをまとめたもので、前著『ムッシュウ・寺山修司』と完全に対を成す。寺山の「映子をみつめる」「故郷について」などの重要随筆も収められている。巻末座談会にも要注目。創世ホールでは版元のデーリー東北新聞社に連絡を取り、チラシを送っていただき、紀田順一郎先生の講演会で来場者に配布するなどして、応援をしている次第である。寺山さん、九條さん、白石征さんには大きな恩義ができたのだから館としてご協力するのは当然のことである。


【2005年10月11日到着書簡/九條今日子→小西昌幸】

小西様 ご無沙汰しています。お元気ですか? その折には大変お世話になりました。 又、毎回「文化ジャーナル」を楽しく読ませていただいています。 さて、私の本が出版されたので送ります。何分、東北の出版社なので、東京ですらなかなか店頭には並ばないようです。 小西さんのお知り合いの本屋さんがあったら、置いて頂けたら嬉しいです。 プロローグで徳島市の方の短歌が朝日の歌壇で入選していたので、ご本人に朝日から連絡していただき、引用させていただきました。 どうぞご感想など伺えたら嬉しいです。2005年10月8日    九條今日子


『回想・寺山修司─百年たったら帰っておいで』デーリー東北新聞社、2005年10月11日発行。四六判・232頁。本体1500円+税。新刊告知チラシには、書籍の注文はファクシミリか電話でとある。青森県内の書店や、神田神保町(東京)の書肆アクセス以外では、書店店頭に並ぶ機会も極めて少ないようなので、ぜひ直接(郵送)注文で入手されたし。問合せ先=デーリー東北新聞社出版部〔ファクシミリ0178・24・4619 電話0178・44・5111〕。


会津漫画研究会ほか『手塚治虫と6人』

幻の雑誌『冒険少年』と手塚治虫の関わりについて、膨大豊富な図版資料で考察した研究書。手塚に影響を与えた海野十三、小松崎茂、山川惣治、永松健夫、杉浦茂、横井福次郎の仕事とそれぞれの交流、同時代の漫画雑誌や出版界など、非常に多角的な視線から探求している。徳島出身のSF作家・海野十三にかなりのスペースを割いているので、今後海野研究者、古典SF研究や大衆文学研究者にとっても欠かせない資料となるのではないか。当館と縁の深い漫画家・長谷邦夫さんも「我が思い出の少年雑誌」というエッセイを執筆。とにかく珍しい漫画雑誌の表紙や付録漫画などの書影、作家・漫画家たちの写真がざっと数百点ありこれをみるだけでも飽きることはない。図版だけでも評価してよい本だと私は思う。また、全頁カラーという体裁なので本体3800円はやむを得ないだろう。私はこの仕事を称えたい。


【2005年11月24日到着葉書/会津漫画研究会・白井祥隆→小西昌幸】

前略。
大変ごぶさたしております。
11月2日にてようやく出版することができました。
本当にありがとうございました。
海野十三の会長様あて1冊のみで申し訳ありませんが、お送り致しました。瀬名〔堯彦〕氏には『怪星ガン』のカラーコピー等、いろいろとお手数をおかけしました。編集ミスにてカラーでなく申し訳ないこととなりました。
改訂版では必ず修正したいと考えています。
池田憲章氏にもすばらしい文章を書いていただきました。
約3年にもわたり出版が遅くなりましたが、なんとか出版できて本当によかったと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。草々
乱筆で申し訳ありません。
白井祥隆


会津漫画研究会、平田昭吾、根本圭助『日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ~手塚治虫と6人』ブティック社、2005年12月10日発行。A4判・264頁。本体3800円+税。

府川充男『印刷史/タイポグラフィの視軸』

2005年2月に三分冊、全三千頁超、外箱を含む重量八・五キロ、本体価格4万5千円というライフワーク『聚珍録』(三省堂)を刊行した府川充男氏(『音楽全書』『同時代音楽』編集、印刷史研究会、築地電子活版代表取締役)の関連新著。判形や誌面の感触から『組版原論』(太田出版)の系譜に連なる本といってよいのではないか。内容は「近代日本活字史の基礎智識」「幕末─大正の新聞紙面と組版意匠の変遷」「築地体の覆刻と飜刻」「一〇〇年前の『印刷雑誌』」など。図版が豊富なので眺めていて飽きない。なお、表紙と扉に使用されている植物図譜(写真)は、府川氏の家の庭の植物をスキャナーで読み取って画像処理したものだときいているが、極めて美麗。

『印刷史/タイポグラフィの視軸』実践社、2005年10月25日発行。B5判上製・192頁。本体2500円+税。

紀田順一郎『読書三到』

10月に感動的な講演会「幻想書林に分け入って」を当館で行ない、聴衆を魅了した紀田さんのもっとも新しい読書論集。図書館論、「朝の読書」の社会的意義、辞書と索引の歴史、インターネットと知的生産など、紀田順一郎節が冴え渡る。徳島と縁のある文章としては、ジャストシステムの一太郎の辞書監修委員会の座長体験を綴った「日本語の歴史と現実に根ざして 初期ATOK委員会の思い出」が大変面白い。先の講演会にはるばる新潟から駆けつけてくださった高本條治さん(気鋭の国語学者)も登場する。なお12月には、ファン待望の『戦後創世記ミステリ日記』が同じ版元(京都の松籟社)からいよいよ刊行される。

『読書三到─新時代の「読む・引く・考える」』松籟社、2005年10月7日発行。四六判上製・240頁。本体1600円+税。

平井玄『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』

音の力』という、音楽を社会との関わりでみつめ考察してゆくシリーズがインパクト出版会から刊行されている。小西はその中の『音の力〈ストリート〉復興編』に座談会で参加したことがある。平井玄氏は、同シリーズの編集委員会のメンバーだ。古い年上の知人で、私のミニコミの執筆者の1人である。「創世ホール通信」百号記念メッセージにも寄稿いただいた。

本書はその平井氏の新刊。フリーター社会・現代日本の病根を見据えた論考が並ぶ。半分以上を占める書き下ろしの第1章の終盤、山谷の日雇い労働者だった「梅ちゃん」(故人。「ウルトラマン」の脚本家・金城哲夫の様に彼もまた階段から転げ落ちて死んだ)との強烈な交流が印象に残った。

『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』太田出版、2005年11月15日発行。四六判・180頁。本体1200円+税。

(2005年11月27日脱稿 敬称一部略 文責=北島町創世ホール企画広報担当 小西昌幸)

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