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文化ジャーナル(平成21年8月号)

文化ジャーナル8月号

創世ホールこれからの催し 北島町立図書館・創世ホールの2009年夏から秋にかけての注目イベントをご紹介します。

徳永真一郎&松田弦ジョイント・コンサート

8月23日(日)14時から3階多目的ホールで、徳島ギター協会主催による標記の演奏会がある。徳永真一郎氏は徳島市出身で現在フランス留学中。彼は9歳から川竹道夫氏にギターを師事。小学校高学年から様々なギター・コンクールで優秀な成績をおさめてきた。その都度新聞やテレビ、ラジオなどで大きく紹介されてきたので、徳島では非常に有名な若手音楽家である。創世ホールでの演奏回数は大変多いので、当館ゆかりの演奏家といっても良いと思う。徳島ギター協会の定期演奏会(年1回)や師匠の川竹道夫氏とのジョイント・コンサート(2005年1月)などを経て2006年11月、徳永は初のソロ・リサイタルを行なった。高校3年の晩秋だった。このソロ・リサイタルは大評判となり、早い時点で前売券が完売したため、12月に急きょ追加公演をしたほどだった。前代未聞の出来事だった。2007年3月に徳永は高校を卒業し、ギター修行のためフランスに旅立ち、以後同地で暮らしている。共演の松田弦は高知県出身で現在は東京でプロとして活躍中の27歳、気鋭のギタリスト。松田氏も少年時代から輝かしいコンクール実績を持つ。四国出身の二十代の二人のギタリストの演奏会に注目を。

松岡貴史&みち子作品展
徳島出身の若い作曲家を招いて

9月25日(金)19時から3階多目的ホールで、徳島では大変珍しい現代音楽の新作展がある。松岡貴史・みち子ご夫妻は徳島市在住で、共に現代音楽の作曲家。松岡貴史氏は鳴門教育大学教授、松岡みち子氏は徳島文理大学非常勤講師である。夫妻は1996年の作品展で「第30回徳島県芸術祭最優秀賞」を受賞している。今回は松岡あさひ氏、高橋宏治氏両名の作品も披露される。

松岡あさひ氏は松岡夫妻のご子息で、2008年東京藝術大学作曲科を首席で卒業、現在東京藝術大学大学院作曲専攻2年。

高橋宏治氏は北島町出身の23歳。北島中学校、徳島県立城ノ内高校を経て現在東京藝術大学作曲科2年。中学・高校時代は陸上競技をしていたユニークな経歴の持ち主である。

徳島県内で県人作曲家の新作による現代音楽の演奏会が開かれること自体、大変珍しい。またベテラン2人と若手2人という構成も面白いのではないか。意欲的取り組みに大きな期待を寄せたい。

演奏者の写真
写真左から松岡みち子、松岡あさひ、高橋宏治、松岡貴史


ケルト音楽の夕べ バグパイプとフィドルの響き

KAAZ(カーズ/大竹奏+山根篤+山根京子)コンサート

第13回を迎える今年の《北島トラディショナル・ナイト》は、10月16日(金)19時から3階多目的ホールで、関東のグループKAAZ(カーズ)のコンサートを行なう。この催しは、元々、フィドルの大竹奏(おおたけかな)さんから昨年秋に当館に連絡をいただき、実を結んだ企画である。大竹さんは本業がプロのオーケストラの楽団員(ヴァイオリン奏者)。昨年、所属楽団が徳島市内で演奏をするということで徳島入りされたので、オフの時間帯に私が市内に出かけて打ち合わせをさせていただいた。そのときに、第2回の北島トラディショナル・ナイトで演奏してくださったアイリッシュ・ハープの坂上真清(さかうえますみ)氏とも交流があるということを知り、一挙に親近感がわいたのだった。坂上氏とのユニット名はSaKaNa(サカナ)だった。坂上氏の《坂》と大竹氏の《奏(かな)》を合成したユニット名である。大竹さんは大変幅広い音楽人脈を持ち、ほかにも様々なグループやユニットで活躍されている。

今回は、「ケルト音楽の夕べ~バグパイプとフィドルの響き」と題して、大竹さんが所属するKAAZ(カーズ)を迎えることになった。KAAZは、日本におけるバグパイプ演奏の第一人者・山根篤氏、フィドル(ヴァイオリン)の大竹氏、キーボードの山根京子氏という編成のケルト音楽のグループである。本格的バグパイプの演奏は四国では大変珍しく、めったに体験できないと思う。チラシ、ポスターは8月中旬に完成し、チケットもお盆明けから発売開始できると思う。ご支援を乞う次第である。(問い合わせTEL.088-698-1100)

新刊書籍情報

東雅夫編『文豪怪談傑作選特別篇 鏡花百物語集』

本の表紙

ちくま文庫で毎年夏に刊行されている文豪怪談シリーズ。今年の第一弾は、泉鏡花関連の百物語怪談会の珍しい資料集である。大正・昭和初期年代の古い雑誌の座談会やアンケートには、まだまだ発掘しきれていないほどの面白い大衆文学資料が眠っている。本書において東雅夫氏は、そういう貴重な文献資料を実に手際よくまとめており、注目に値する仕事をしている。一般にアンソロジーはどうしても小説一本槍になりがちだが、単行本化されていないエッセイや、座談会を集める方法は東氏の近年の功績であろう。とにかく何より、理屈抜きで文献資料が面白いことが重要だ。鏡花が参加している巻末2篇の座談会を、私は夢中で読みふけった。これぞ読書の醍醐味である。

◆東雅夫編『文豪怪談傑作選特別篇鏡花百物語集』ちくま文庫、2009年7月10日発行。文庫判・378頁。本体880円+税。

浅尾典彦&ライトノベル研究会『ライトノベル作家のつくりかた2』

本の表紙

浅尾典彦氏は、大阪を拠点に特撮関係の催しなどの仕掛け人として知られる優秀な人材である。当館の池田憲章氏や辻真先先生の講演会の際にははるばる大阪から来館されるなど、多大なご支援をちょうだいした。本書は2007年に刊行され多数の売上を記録したという『ライトノベル作家のつくりかた』の続編。前回の本で収録できなかった注目作家のインタビュー、作家アンケート、イラストレーター、編集者などのインタビューで構成されている。私はこの方面には全くうといのだが、それでも作家インタビューは抜群に面白く読んだ。浅尾氏が巧みな聞き手だからこそ成し得たことだといえよう

◆浅尾典彦&ライトノベル研究会『ライトノベル作家のつくりかた2』青心社、2009年7月20日発行、A5判ソフトカバー・221頁。本体1480円+税。

(2009・08・04脱稿/文中一部敬称略/文責=創世ホール館長・小西昌幸)

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