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文化ジャーナル(平成22年5月号)

文化ジャーナル5月号

映画「牛の鈴音」上映会

2010年5月15日(土)に創世ホール名画上映会を開催する。上映作品は、韓国のドキュメンタリー映画「牛の鈴音」(2008年作品、78分)である。この映画は今も農作業を牛に頼っている79歳の老農夫と、年老いた牛との心の交流を描いた映画で、韓国では「この映画を見て泣かない人はいない」といわれるくらい話題となり、ドキュメンタリー作品として異例の大ヒットを記録した。この映画は徳島県では北島町だけの上映になるので、貴重なチャンスだと思う。筆者の知人からは、「大阪での上映会に行くことができなかったので、徳島で見る機会を作ってもらえて本当にうれしい」という声が寄せられている。関心ある方は、お見逃しないように。

大石征也講演会「亡友・海野十三」

5月16日(日)は徳島出身のSF作家・海野十三を顕彰する催しが当館2階ハイビジョン・シアターである。今年は石井町在住の昭和文学研究家・大石征也氏による講演「亡友・海野十三~横溝ミステリにこめられた鎮魂」である。

大石氏は、第5回(2007年)と第7回(2009年)の《とくしま文学賞》文芸評論部門最優秀賞を受賞している。受賞論文は第5回が「〈孤島の夢〉を継ぐもの‐海野十三『三人の双生児』試論」、第7回が「〈本格探偵小説〉の光と陰‐海野十三『三人の双生児』再論」で、これらは当時「徳島新聞」に全文が掲載され、後に『文芸とくしま』5号と7号にそれぞれ収録された。大石氏は比較文学的な精緻なアプローチを身上としており、当講演では海野の若すぎた死が横溝作品に与えた影響などについて詳しく展開される予定。多数ご参集下さい。

特別展 パンク魚屋のロックン・ロール・オブジェ

5月29日(土)から、特別展《パンク魚屋のロックン・ロール・オブジェ》を図書館1階カウンター前スペースで開催する。徳島県藍住町在住の小笠原重昭さん(57歳)は、本業の鮮魚店を営むかたわら非常にユニークなポップ・アート作品を次々発表してきた。その作品には常にロック精神があふれており、好んでロック・アーティストを題材に多くの作品を手がけている。彼は1997年と1998年に、徳島美術展デザイン部門で特選を受賞している。また2001年2月には「ビートたけしの誰でもピカソ」にも出演している。

氏の作品の特徴は、作品の素材に河原で拾ってきた流木や石や、着古したジーンズなど、一見ゴミとして扱われそうなものを好んで取り上げている点にあるだろう。既成の美術家やデザイナーとは全く発想が異なる、極めて自由な精神が躍動しているのである。これはやはり根底にみなぎるパンク精神のゆえといってよいのではないか。このたびの特別展示は、彼の近作オブジェ約30点を4つのガラスケースに展示する。開催期間は6月30日までだが、6月中旬から10日間は図書館の蔵書点検があり、その期間は休館なのでご注意願いたい。会期=5月29日(土)~6月30日(水)10時から18時。休館日は5月31日(月)、6月7日(月)、14日(月)~24日(木)、28日(月)。

チラシ

トピックス

北島ライオンズ・クラブ様からプロジェクターと書籍寄贈

2010年2月、創世ホールに念願のプロジェクターが寄贈されました。当館にはこれまで、スライドの投影装置はありましたが、プロジェクターはなく、また昨今の厳しい財政事情から購入することもかなわぬままでした。この寄贈は、そんな事情を知った北島ライオンズ・クラブ(江富久雄会長)のご厚意によるもので、1月30日に同クラブ主催で開催された《ザ・サニー・サイド・ジャズ・オーケストラ◎チャリティ演奏会》の収益でご寄贈いただいたのでした。プロジェクターの記念すべき最初の使用は、当館主催の今野勉さん講演会「わがテレビ青春記」でした。各界から注目された講演会の中で「土曜と月曜の間」などの貴重な映像を館の備品のプロジェクターで投影できて感慨無量でした。北島ライオンズ・クラブの皆さんに深く感謝する次第です。

また、あわせて10万円分の書籍資料を寄贈いただきました。内容は、府川充男編『聚珍録 図説=近世・近代日本〈文字‐印刷〉文化史』全3巻(三省堂)、小宮山博史ほか『活字印刷の文化史』(勉誠出版)などの書誌資料、『海野十三短編集? 三人の双生児』(ことのは文庫/徳島県立文学書道館)、『海野十三短編集? 十八時の音楽浴』(同)、『小坂奇石文集(上・下)』(同)、『北條民雄選集 いのちの初夜』(同)などの郷土資料です。書籍資料については、5月末まで図書館の新刊書籍コーナー付近にて特別展示していますので、ぜひ手にとってご覧下さい。

植松三十里さんの『咸臨丸、サンフランシスコにて』(角川文庫)に注目

本の表紙

歴史小説作家の植松三十里(うえまつみどり)さんの新しい文庫本『咸臨丸、サンフランシスコにて』(角川文庫、2010年4月25日、本体590円)のあとがきに「北島町創世ホール」の名が登場します(284頁-285頁)。植松さんは当館でご講演いただいたことがある方です(2006年10月12日、演題「江戸時代のお産と今の子育て~徳島藩医・賀川玄悦の産科術を通じて」、北島町PTA連合会主催)。このときは、PTA連合会の恒例行事企画のお手伝いをさせていただき、植松さんにご登場願ったのでした。

この文庫は、2004年に新人物往来社から刊行された単行本『桑港にて』を改題改稿し、書き下ろし作品「咸臨丸のかたりべ」を新たに収録したものです。「咸臨丸のかたりべ」は、文倉平次郎(『幕末軍艦咸臨丸』著者)の生涯を描いた感動作で、創世ホールでは紀田順一郎先生の第1回講演会「書物と人生」の中で文倉のことをお話いただいたことがありました。植松さんは、文倉さんのことを調べていて偶然北島町で紀田先生が取り上げていたことをお知りになり、不思議なご縁を感じた(取材対象人物から「呼ばれる」現象の体験)のだそうです。それで、わざわざあとがきに書いてくださったのでした。植松さんの温かいエールに深く感謝します。

2006年秋にご縁ができて以後、植松さんには折に触れて「創世ホール通信」などをお送りしてきました。交流を続けることの大切さをあらためて感じたことでした。

(2010・05・08脱稿文中一部敬称略文責=創世ホール館長・小西昌幸)

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