HOME記事文化ジャーナル(平成23年11月号)

文化ジャーナル(平成23年11月号)

文化ジャーナル11月号

3月号から池田憲章氏の講演会採録を連載していますが、今号はお休みをいただき、11月27日の「晩秋のケルト~マックフィドルズ・コンサート」のご案内と、当館ゆかりの人たちの新刊書籍のご紹介をさせていただきます。ご了承ください。

晩秋のケルト マックフィドルズ
2011年11月27日 北島町立図書館・創世ホール(徳島)

11月27日(日)午後2時半から3階多目的ホールで第15回北島トラディショナル・ナイト「晩秋のケルト~マックフィドルズ・コンサート」を開催します。マックフィドルズは、京都祇園のアイリッシュ・パブを拠点に活躍している実力派グループです。ヴォーカルとバウロンのフェリシティ・グリーンランドさんは英国イングランド出身。本場の女性ヴォーカルをたっぷり堪能できる企画は、当シリーズでは初めてです。また笠村温子さんとジェイ・グレッグさんによるツイン・フィドルもこのグループの大きな特徴です。北島町公演では、さらにダイアトニック式ボタン・アコーディオン奏者の吉田文夫さんが加わり、音に一層の厚みを与えて下さいます。ご期待下さい。

上記演奏会に合わせて、今年も関連展示として11月1日(火)から図書館カウンター前で【アイルランド~ケルトに関する本とCD】の特別展示をします(11月27日夕方まで)。これは当館所蔵のアイルランド~ケルト文化に関する書籍資料、音楽資料など約90点を1つにまとめ、コーナーを作ったものです。昨年すばらしい演奏を聞かせてくれた坂上真清さん率いるハンドリオンのCDや、マックフィドルズの演奏が3曲おさめられた関西アイリッシュ・オムニバス「ケルト、知っとるけ」や、特別ゲストの吉田文夫さんのシ・フォークや、シャナヒー、ハード・トゥ・ファインドのCDももちろん置いてあります。ぜひ手に取ってごらんになって下さい。

新刊書籍紹介

伊賀公一『色弱が世界を変える』太田出版

本の表紙

伊賀公一氏は1955年10月31日生まれ、徳島市出身。NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)理事。日本には320万人、男性20人に1人の割合で色弱者が存在する。段差を減らして街を住みやすくしようというバリアフリーの運動があるように、色覚の多様性を考慮に入れて、様々な色使いや表記にほんの少しの工夫を加えることで、多くの人が暮らしやすくなる。これがカラーユニバーサルデザインの取り組みだ。本書ではそのことが分かりやすく実践的・具体的に例示される。あわせて、伊賀公一という非常に個性あふれる人の半生記にもなっていて、読んでいて物凄く楽しい。伊賀氏は当館・小西と28年来の友人。創世ホールの文化活動に対する熱心な支援者の1人である◆伊賀公一『色弱が世界を変える』太田出版、2011年5月10日発行、四六判ソフトカバー・292頁。本体1800円+税。


浅尾典彦作、永井道紀画『マンガ ライトノベル入門』青心社

本の表紙

浅尾典彦氏は大阪府豊中市在住。特撮やアニメなどに詳しいメディアライター。日本SF作家クラブ会員。創世ホール講演会応援のため、当館には何度も足を運んで下さっている。最近は、ライトノベルに関する入門・創作講座・研究書『ライトノベル作家のつくりかた』が評判を呼び、徳島県立文学書道館でも小説創作に関する講演を行なった。本書は、漫画形式でライトノベルの創作に関するノウハウを解説。ユーモア漂う中に、創作に向かう厳しさが描かれている◆浅尾典彦作、永井道紀画『マンガ ライトノベル入門』青心社、A5判並製・142頁。本体1100円+税。


芦辺拓『黄金夢幻城殺人事件』原書房

本の表紙

本格ミステリ作家・芦辺拓先生は、かつて当館で開催した辻真先先生講演会に日帰りで東京から駆けつけてくださった当館にとって恩義ある方である。最近ではテレビの2時間サスペンス・ドラマで森江春策シリーズが時々放映されているが、同シリーズは芦辺先生の作品が原作だ。本書は、怪傑黒頭巾や鞍馬天狗などの懐かしい時代劇や少年探偵が活躍する往年の大衆娯楽活劇へのオマージュをふんだんに織り交ぜた作品集◆芦辺拓『黄金夢幻城殺人事件』原書房、2011年9月21日発行、四六判ソフトカバー・308頁。本体1700円+税。


大友良英・遠藤ミチロウほか『クロニクルFUKUSHIMA』青土社

本の表紙

当館のコンサートでおなじみの歌手・遠藤ミチロウ氏は福島県二本松市出身。昨年11月に還暦を迎えられた。3月11日の東日本大震災とそれに伴う東京電力の福島原子力発電所での深刻な事故に、心を痛めておられた。遠藤ミチロウさんは同郷の音楽家・大友良英氏と福島のために野外イベントをやろうと相談し、8月15日に福島市の野外施設・四季の里でフリー・コンサート「フェスティバルFUKUSHIMA」を開催。音楽家・坂本龍一、詩人・和合亮一、放射線衛生学・木村真三氏などが協力したその催しには、全国から1万3千人が集まり大成功をおさめた。本書は、そのイベントの記録集。大友良英氏が各氏との対談を繰り広げ、巨大災害や巨大人災を前にしたときに文化にできることは果たして何なのかを考察してゆく。それは我々に向けられた問いかけでもある◆大友良英ほか『クロニクルFUKUSHIMA』青土社、2011年10月15日発行、四六判ソフトカバー・326頁。本体1600円+税。


芦辺拓『七人の探偵のための事件』早川書房

本の表紙

山間の辺ぴな過疎の町で次々起こる不思議な事件。青年団は名探偵招聘を画策し、かくして7人の探偵がやってきた。日本一地味な素人探偵=森江春策、老婦人探偵=平田鶴子、美貌の女性探偵=霧嶺美夜、少年探偵=七星スバル、警視庁のベテラン警部補=獅子堂勘一、探検家探偵=壇原真人、天才型名探偵=レジナルド・ナイジェルソープ。彼らが繰り広げる推理劇と、どんでん返しの数々。果たして事件は無事に解決するのか。芦辺先生の新境地はミステリ新喜劇◆芦辺拓『七人の探偵のための事件』早川書房、2011年10月15日発行、四六判上製本・368頁。本体1900円+税。


紀田順一郎『幻想怪奇譚の世界』松籟社

本の表紙

当館と深い交流のある紀田順一郎先生の新著。京都で良質の出版活動を続ける松籟社から紀田先生は数冊の単行本を刊行しておられるが、本書は2007年に同社から刊行され日本推理作家協会賞を受賞した『幻想と怪奇の時代』の続編というべき1冊。第1部は小泉八雲、泉鏡花、夢野久作、江戸川乱歩、海野十三、小栗虫太郎、平井呈一などを取り上げ、第2部では海外の作家を紹介。アーサー・マッケン『夢の丘』(創元推理文庫)での紀田先生による名解説が初めて単行本に収録されたことが個人的にはとても嬉しい◆紀田順一郎『幻想怪奇譚の世界』松籟社、2011年10月17日発行、四六判上製・254頁。本体1900円+税。


紀田順一郎『乱歩彷徨 なぜ読み継がれるのか』春風社

本の表紙

紀田順一郎先生書き下ろしによる渾身の江戸川乱歩論。紀田先生は小西宛て電子書簡で、これからは1冊1冊の著作を最後の書物と思って取り組む所存である旨を、表明されていた。我々はこの言葉の重みと覚悟を噛み締めなくてはならない。そして先生の名文を、背筋を伸ばし正座して味わいたいと思う◆紀田順一郎『乱歩彷徨 なぜ読み継がれるのか』春風社、2011年11月3日発行、四六判上製・266頁。本体1905円+税。

(2011・10・30脱稿/文中一部敬称略/文責=北島町立図書館・創世ホール館長小西昌幸)

カテゴリー