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文化ジャーナル(平成24年5月号)

文化ジャーナル5月号

随時連載★北島町創世ホール・アーカイブス(1)

5月27日(日)に創世ホール2階ハイビジョン・シアターで、森優さんの講演会「戦後SF第一世代の思い出~海野十三を追いかけた若者たちの伝説」があります。当館では1999年10月に柴野拓美先生の講演会「日本SFを築いた人たち」を開いたことがあり(図書館・創世ホール主催)、このたびの森優さん講演会は柴野先生講演会とも密接に関係するものです(正当続編的位置付け)。さらに柴野さん講演会がきっかけとなって、トキワ荘漫画家・長谷邦夫先生との交流も始まりました。森さんと長谷さんももちろんご友人です。この機会に、森さん講演会を盛り上げる意味合いを込めて、当時の周辺書簡資料の一部を掲載し、一つの歴史文化資料~アーカイブスとしてここに記録保存する次第です。(一部敬称略/再録文責=小西昌幸)


【長谷邦夫さんへの手紙】1999年9月投函

長谷邦夫様

北島町立図書館・創世ホール 小西昌幸

チラシ、ポスターの送付について

お世話になっております。
10月17日に北島町立図書館・創世ホールで開催する柴野拓美先生の講演会「日本SFを築いた人たち~SF同人誌『宇宙塵』40年の軌跡」のチラシ、ポスターができましたのでお送りします。
多くの人を集め、充実した催しにしたいと考えています。周知宣伝方ご協力いただけましたら幸いです。今後ともご支援ご指導をよろしくお願いいたします。 私は中学生の頃、『COM』の愛読者で、先生のパロディ漫画が大好きでした。先生にお手紙を書いて返事をいただいたこともあります。ちょうどサン・コミックスの『東海道戦争』が出る前で、先生のハガキの文面に同書のPRがあったので、私はちゃんと買いました。
私は今43歳の中年公務員ですが、ホールの企画の仕事をしています。過去に先生の作品などをはじめとして色々な刷り込みをされたおかげで、こんなマニアックな講演会を企画するに至りました。それでは失礼いたします。
※先生のご住所は『コミックボックス』の編集部の方にご教示いただきました。


【長谷邦夫さんからの手紙】1999年9月14日着

小西昌幸様
資料お送りくださいまして有難う御座いました。 いやー驚きました。光栄です。『COM』の頃を憶えていてくださるなんて! 小生も60歳を過ぎまして、引退同然の身です。それで南那須に移り住みました。もう三年たち、土地に馴染みはじめたところです。
漫画の仕事は、今年(1999年)の4月から、岐阜県の大垣女子短期大学の「マンガ論」講師をやり始めたくらいです。月に二回2コマずつ教えています。新幹線乗り継いで、現地で一泊し、翌日の午後に喋り、その日に帰宅! というスケジュールです。
来年からは、東京・蒲田の日本工学院専門学校が新設する綜合アニメーション科でも教える予定です。漫画も歴史と量が積み重なっているので、きちんと組織立てて教えないと、優れた古典や傑作が読まれない、そんな危機的状況にあるようです。
イヤーしかし、柴野さんとは懐かしいです。毎月のように大岡山のご自宅にお邪魔した、楽しい日々を鮮明に思い出します。漫画家で最初に「宇宙塵」に参加したのは、きっと小生です。随分ながいことご無沙汰しておりますので、どうぞよろしくお伝えください。 図書館資料も、たいへん充実した立派なものですね。感心致しました。そのご苦労がしのばれます。
南那須町は、木造の旧町役場の建物を使っている状態。今度、介護センターが出来るので、空きになる改善センターに移転するようです。そちらの環境が羨ましい。 漫画作品は今年創刊の『季刊・詩の雑誌midnight press』(ミッドナイト・プレス発行/星雲社発売)に2頁の『ポエトリー・コミック』なるものを連載しております。あとはヘルパーさんの体験記を漫画化したものを連載したり、といった程度です。近ぢか短大用に書いた『漫画の構造学』(仮題)が一冊になりそうです。刊行されましたら、お送りします。
近況かたがた、まずは御礼まで。
講演会のご成功を!

長谷邦夫


【柴野拓美先生からの手紙】1999年9月22日着

前略

ビデオをお送りします。「二〇周年」だけだと時間的にキリがよくないようなので、もう一本「第一回日本SF大会」も入れておきます。
「二〇周年」は正味六時間の中から、本誌と直接関係のある二箇所(『宇宙塵』一七九号でレポートした「記念式典」と「宇宙塵創刊の頃」)をピックアップしましたが、時間的には合わせて四〇分くらいで、ご所望の一時間には足りないため、そのあとにしめくくりの「座談会」を加えてみました。これが一時間くらいで、全体では二時間近くになりそうです。適宜切り詰めるか、あるいは「第一回大会」を併せてご利用いただくのがいいかもしれません。
でもなにしろわたしの持っているコピーからの再コピーなので、映像も不鮮明、音も強弱不安定で、ご不満かと思いますが、当面はこれしかありません。コピーしてくれた門倉純一氏(SFの映像関係では日本随一の通人です)の話によると、当時はVHSができたばかりでテープの質もまだまだだった由。オリジナル(放送用テープ)はスポンサーの小松左京さんのところにあるらしいので、それを借りて全部デジタル化できるといいのですが・・・。
なお、オープニングのロケットの火と天体写真の構成は、舞台では効果満点で感動的だったのですが、ビデオだとどうもぱっとしませんね。もしこの部分が長すぎてだれるようだったら、そのあとの、セレモニーのはじまるところから映写していただいてもいいでしょう。
「第一回SF大会」は、大昔のこととて、最初八ミリフィルム(それも当時はダブルでした!)で撮ったのを、先年ビデオに起こしたものなので、もちろん原版はモノクロのサイレントです。これも門倉氏に頼んで音を入れてもらいました。ここには同じものが三本入っており、一本目には冒頭部分に、TBSが取材して放送したラジオの録音をそのまま入れ、二本目は放送に使われた各氏のあいさつを該当する箇所に入れ、三本目ではそれに音楽もつけてあります。(当時はまだ存在しなかった曲も使われています!)
このテープでは一応その三本目の頭を出してありますので、このままかければ、その完成品(?)が見られます。見たあとぜんぶ巻きもどすと、一本目の半製品(?)が出てきますのでご用心ください。
ご参考のため、映っている内容ーーとくに話している人間ーーを順にあげておきます。 準備風景→毎日新聞からの差し入れジュース→受け付け→TBS記者と柴野→開会のあいさつ(柴野)→渡辺啓助氏→大下宇陀児〔おおしたうだる〕氏→星新一氏→福島正実氏→手塚治虫氏来場→SFM同好会発足のあいさつ(同会の発起人・志摩四朗氏)→手塚氏→筒井康隆氏→矢野徹氏→星氏自作朗読→(不明)→石ノ森章太郎氏→光瀬龍氏→眉村卓氏→「宇宙塵国際版」スタッフ紹介(伊藤典夫、豊田有恒、平井和正、斉藤伯好の各氏)→尾崎秀樹氏→紀田順一郎氏→斎藤守弘氏→映画(NASAの記録フィルムとノーマン・マクラレンの実験映画、大伴昌司氏提供映写)→手塚、石ノ森、長谷邦夫の三氏による席画(音声ではここにTBS記者にマイクを向けられた手塚氏の声が入っています)。
たぶんこれで間違いはないと思います。事情が事情のため、各氏あいさつの音声が映像とはかなりずれていますが、ご容赦ください。
なお、この記録は第一部(昼の部)だけで、夜の部では紀田順一郎さんが司会をつとめ、より親密な雰囲気でもりあがりました。ポスターに載せていただいた記念写真に写っているのは、この夜の部の最後まで残った人たちです。
以上につき、ご不明の点がありましたら、FAXでもいただければ、わたしにわかる範囲でお答えします。
今回はこれにて。

草々

九月二十日

柴野拓美

PS 図書類はだいたい荷造りできました。二、三日中には出せるでしょう。『塵も積もれば』三〇、『宇宙塵傑作選』上下各一五、用意しました。あと『宇宙塵』のバックナンバーはどれくらいが適当か、またこれら以外にもっと何か出した方がいいかどうか、思案中です。


【Nさんへの手紙】1999年10月投函

N様。お世話になっております。
『0次元』お送りいただき、恐縮しています。
O倉さんの名があるのにビックリしました。O倉さんは98年3月に創世ホールで種村季弘さんの講演会を企画したときに連絡をいただいた方で、種村さんの著作をボウ大に持参され、いっぱいサインをもらっていました。
T橋さんのカットはどれだろうかとか、K浜氏のアンケートとか、様々な感慨を持って拝見しました。皆さん、がんばってらっしゃったんですねえ?。それから3号のアンケートでK保さんがRCサクセション公演に行った旨お書きになっている文章で、「あーあの日、同じ会場にいた人なのかあ・・・」とか、本当にあとからあとから感想といいますか感慨がわきあがってきたのでした。編集は本当に大変だったと思います。ごくろう様でした。
私はこのたびの柴野先生の講演会に関わって、生涯SFを読み続けようと思いました。昔から星野之宣作品の新刊は欠かさず買っています。
11月1~3日の間、『海野十三メモリアル・ブック』の関係で上京したのですが、その際早稲田の古本屋さんで『SFマガジン』のバック・ナンバーが20年分ぐらいある中から、大伴昌司追悼号や、柴野さんのインタビュー掲載号などなど7冊ほど選んできました。それらに目を通して感じるのは、SFはまぎれもなく新しい文学の運動(活動)だったのだということでした。まぎれもない熱い青春があったのだと思います。
遅くなりましたが、写真を焼き増ししました。プレゼントします。それでは失礼します。

小西昌幸

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